6月215日

何事もなかったかのように夕飯は口に運ばれていき、違和を感じないことに違和を感じる揺り戻しは随分と遅れてやってくる。ヒーローでもないのに。

特筆すべきことはない、別に、普通、語彙は違えど司る理由は根で繋がっている。掘り出す前に消える後悔。体を向ける前に崩れた記憶。歓喜を言葉に表す苦しみにならどれだけ縛られたっていいのに。いっそ幻の波を捕らえられるように、指を取り替えてしまおうか。指だけで構わないのか?捉えられる目は?追い付ける足は?体中を全てすげ替えたいように仕向けたのは言うまでもなく他でもない。

普通に「普通」と名付けてきっちりと並べるのは、予想以上に難しい。おかしな出来事に何回も間違えてラベルを貼ってしまった跡、そもそもラベルすら貼らずに山積みになったガラスの瓶。最近はインクも買いに行く元気も、ついでのように切れている。

やるべきことをやらずにやってはならないことばかりをやっているから麻痺した頭が同じ内容ばかりを口から吐き出している。
「本日は大雨で、生活をしています。やはりどうしても理由がない、頭が痛い、ここは誰ですか」

きっとインクの無駄遣い、違和に気がつく理由も、掠れて消えた。